「彼はアメリカ映画界における偉大なる真の異端児だった。」俳優ロバート・ダ ウニー・Jr.は父の死に際し、そう語った。それから約1年となる今夏、1969年製作の『パトニー・スォープ』が日本で初公開となる。舞台は1960年代のニューヨーク。名門広告会社の創業者が突然亡くなり、唯一の黒人役員パトニー・スウォープは予想外の結果によって新社長に選出される。彼はほぼすべての白人役員を解雇、奇抜かつ悪趣味ともいえる広告キャンペー ンで次々とヒット商品を生み出し、会社は大躍進を果たすが、やがて大統領の陰謀に巻き込まれることに。『パトニー・スウォープ』は独自の過激なユーモアで世の中のあらゆる欺瞞を風刺する時代の先駆者そのものの映画だった。評価は別れ、アメリカン・ニューシ ネマの到来に沸く映画界も、時代の先を行き過ぎた本作の過激さを受け入れ切れずにいたが、今やジム・ジャームッシュなど多くの映画作家に影響を与えている。
「パトニー・スウォープ」Putney Swope -デジタル・レストア・バージョン- 1969 年/ アメリカ映画 / 上映時間 85 分 / 白黒・カラー 監督:ロバート・ダウニー /主演:アーノルド・ジョンソン